アラビア半島の南端、アラビア海と紅海に面する国、イエメン。その国土の東部、ハドラマウト州
に、日干しレンガで建てられた5〜8階建ての高層建築がひしめき合う街がある。

画像: 夕日に照らし出されるシバームの街。街の背後には荒々しい大地が広がる

夕日に照らし出されるシバームの街。街の背後には荒々しい大地が広がる

 アラビア半島最大のワジ(涸れ川)、ハドラマウトの谷の底に位置するシバームは、古代南アラビ
ア王国時代、交易の中心地として活況を呈した。一帯は砂漠気候ながら、雨期に山間部に降る雨がワ
ジを流れることで、オアシスを形成し、人々の生活を潤した。

画像: 砂漠の荒野の中に忽然と現れる〝砂漠の摩天楼〟。その光景は一生の思い出となるはずだ

砂漠の荒野の中に忽然と現れる〝砂漠の摩天楼〟。その光景は一生の思い出となるはずだ

 しかしこの自然環境は一方で、砂漠の民を苦しめることもあった。ワジの上流にダムが建設され
るまでは、大きな洪水が何度もシバームを襲ったとされている。そしてこの洪水への対策こそが、こ
の高層建築を生んだ理由だ。

画像: 日干しレンガを積み上げて造られた建物。白く塗られているのは、漆喰と石膏を混ぜ合わせた「ヌラー」という塗料

日干しレンガを積み上げて造られた建物。白く塗られているのは、漆喰と石膏を混ぜ合わせた「ヌラー」という塗料

 また高層建築は、砂漠の遊牧民ベドウィンからの度重なる襲撃を防ぐためにも役立った。建物の間
には連絡橋が架けられ、敵の襲来時には避難路となった。
 かつては「幸福のアラビア」とも呼ばれたイエメンは、現在内戦の惨禍の中だ。一刻も早く内戦状態が終結し、人々がこの絶景を訪れる日が来ることを願うばかりだ。

●アクセス
現在、イエメンは内戦状態のため、入国や旅行することは事実上不可能。平時であれば、首都のサナアから空路で近くの都市、サユーンまで約1 時間。サユーンからはタクシーで約30 分の距離だ。ワジを挟んで、北が旧市街、南には新市街が広がる。

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