外敵から国土や一族を守るために築かれた壮大で堅牢なこれらの要塞。かつては敵の侵入を一切許さなかったが、役割を終えた現代では、荘厳な歴史的建造物として見る人の視線を釘付けにする。

サハラ砂漠横断の拠点に築かれた堅牢な城塞
Ksar of Ait-Ben-Haddou
アイット・ベン・ハドゥ〈モロッコ〉

画像: 17世紀にベルベル人によって造られ、サハラ砂漠を渡るキャラバンの集まる隊商都市として古くから栄えた

17世紀にベルベル人によって造られ、サハラ砂漠を渡るキャラバンの集まる隊商都市として古くから栄えた

 サハラ砂漠の北西にそびえるアイット・ベン・ハドゥは、「クサル」と呼ばれる要塞化された村の中でも特に美しいとされ、旅人を魅了し続けている。他部族や盗賊による侵略や略奪を阻むため、城門は1ヵ所のみ。銃眼が穿たれた塔が並ぶ街の通路は複雑に入り組んでいて、迷路のような構造となっている。
 名作『アラビアのロレンス』をはじめ十数本の映画のロケ地となり、現在も電気やガスは未整備の街を彷徨うだけで、まさに映画のワンシーンに迷い込んだような時間旅行を楽しめるのも人気の理由だ。

ACCESS
モロッコ中央部のマラケシュからバスでワルザザートへ約5 時間。ワルザザートからはバスやタクシーを利用する。

誇り高き一族の栄華を示すアジア最大級の城塞都市
Chittorgarh Fort
チットガー・フォート〈インド〉

画像: 敷地内には100 を超える宮殿や寺院がある。独特の模様が描かれた外壁も破格のスケールだ

敷地内には100 を超える宮殿や寺院がある。独特の模様が描かれた外壁も破格のスケールだ

 7世紀から16世紀までの間、ガンジス川中流域を支配していた古代インドの戦士階級クシャトリヤの子孫、ラージプート族。その一族がアラバリ山脈の麓に遺した巨城がチットガー・フォートだ。標高180mの丘にそびえる、約2・8㎢というアジア最大級の城塞都市で、砦内には宮殿や寺院が並ぶ。それらの多くは、1303年の砦陥落時に自害を決めたラージプート族の選択によって結果的に守られた。建造物の損壊や焼失は最小限に抑えられ保存状態のよい彫刻や内装が当時の繁栄を雄弁に物語る。また、大きな見どころのひとつであるゴウムク貯水池は、700年の時を超え今も地元民の生活用水として利用されており、かつての栄華と現在の生活が混在するインドならではの景色に出会えるだろう。

ACCESS
デリーからチットガー最寄りのウダイプル・ダボック空港まで国内線で約1時間半。ウダイプルからは鉄道、バス、タクシーで約2時間。

珊瑚礁に囲まれた未完の海洋要塞跡
Fort Jefferson
フォート・ジェファーソン〈アメリカ〉

画像: 1908 年に自然保護区に指定され、現在はシュノーケリングを楽しむ観光客も多い

1908 年に自然保護区に指定され、現在はシュノーケリングを楽しむ観光客も多い

 アメリカ合衆国フロリダ州にある要塞跡フォート・ジェファーソンは、キー・ウェストの約110㎞西の沖合、珊瑚礁からなるガーデン・キー島に位置する。1800年代半ばにメキシコ湾における制海権を握るために建設を開始。南北戦争中は宿舎や火薬庫、捕虜の収容所などで使用されたが、頻繁に起こるハリケーンに加え建設作業員の飲み水や食料不足に見舞われたせいで、未完のままだ。現在は無人島となっているが、フロリダの青い空の下で透明度の高い海に囲まれた巨大な超芸術として不思議な存在感を放つ。

ACCESS
ニューヨークからキー・ウェスト国際空港まで約3時間。キー・ウェスト港からフェリーで約2 時間半。

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